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  • Marcel Proust

スワン家の方へ 第1章 コンブレイ - 2

ふくよかでひんやりとした子供の頬のような枕に頬をあてる。マッチを擦って蝋燭に火をつけ、時間を見た。12時少し前だった。――病身を押して、旅に出た彼は、旅の途上、見知らぬ町のホテルに泊まることを余儀なくされる。夜中、持病の発作で目が覚め、痛みのせいで眠ることができず、痛みをこらえながら、夜が明けるのを待っている。扉の下から明かりが見える。『もう朝だ。そのうち、ホテルの従業員が起きだすだろう。ベルを鳴らせば。誰かが来てくれるに違いない』という思いが彼を勇気づける。その時、廊下から足音が聞こえ、次第に彼の部屋に近づいてくる。ところが、彼の部屋の前まで来た足音はそのまま彼の部屋を通り過ぎ、遠ざかっていった。扉の下からから見えていた明かりも消え、再び、暗闇になる。真夜中だった。ガス灯の灯はすべて消え、最後まで残って仕事をしていた従業員も帰ってしまった。朝まで、助けもなく、ひとりで苦しまなければならないと、暗澹たる気持ちになる。彼にとって、真夜中とはそんな時間だった。

J’appuyais tendrement mes joues contre les belles joues de l’oreiller qui, pleines et fraîches, sont comme les joues de notre enfance. Je frottais une allumette pour regarder ma montre. Bientôt minuit. C’est l’instant où le malade qui a été obligé de partir en voyage et a dû coucher dans un hôtel inconnu, réveillé par une crise, se réjouit en apercevant sous la porte une raie de jour. Quel bonheur ! C’est déjà le matin ! Dans un moment les domestiques seront levés, Il pourra sonner, On viendra lui porter secours. L’espérance d’être soulagé lui donne du courage pour souffrir. Justement il a cru entendre des pas ; les pas se rapprochent, puis s’éloignent. Et la raie de jour qui était sous sa porte a disparu. C’est minuit ; on vient d’éteindre le gaz ; le dernier domestique est parti et il faudra rester toute la nuit à souffrir sans remède.

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