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  • Marcel Proust

スワン家の方へ 第1章 コンブレイ - 12

コンブレイでは、毎日就寝時間になると寝室に追いやられ、眠れないまま、母や祖母と離れてひとりで過ごすことを余儀なくされたため、私にとって、寝室は心配の種となった。夕方になると塞いでいる私を見て、大人たちはなんとか私の気を晴らそうといろいろな工夫をした。部屋に魔法のランタンを置き、夕食までの間、そのランプを灯した。それは、ランプに初期ゴチック建築のステンドグラスのようなカバーを施したものであり、ランプを灯すとそのガラスの絵が壁に投影され、不透明な壁が透明で玉虫色の超自然的な揺れ動くステンドグラスになった。そこには伝説上の人物が描かれていた。それは私の悲しみを和らげるどころか、増幅した。照明が変わったことにより、慣れ親しんだ寝室の空間が失われてしまった。習慣があればこそ、就寝前の時間の寂しさはさておき、寝室という場所に耐えることができた。ランプが灯った瞬間から、私がよく知った場所は私の全く知らない場所となり、初めて降りた駅のホテルの一室のような、それとも「山小屋」のような空間に様変わりした。

À Combray, tous les jours dès la fin de l'après-midi, longtemps avant le moment où il faudrait me mettre au lit et rester, sans dormir, loin de ma mère et de ma grand'mère, ma chambre à coucher redevenait le point fixe et douloureux de mes préoccupations. On avait bien inventé, pour me distraire les soirs où on me trouvait l'air trop malheureux, de me donner une lanterne magique, dont, en attendant l'heure du dîner, on coiffait ma lampe ; et, à l'instar des premiers architectes et maîtres verriers de l'âge gothique, elle substituait à l'opacité des murs d'impalpables irisations, de surnaturelles apparitions multicolores, où des légendes étaient dépeintes comme dans un vitrail vacillant et momentané. Mais ma tristesse n'en était qu'accrue, parce que rien que le changement d'éclairage détruisait l'habitude que j'avais de ma chambre et grâce à quoi, sauf le supplice du coucher, elle m'était devenue supportable. Maintenant je ne la reconnaissais plus et j'y étais inquiet, comme dans une chambre d'hôtel ou de « chalet », où je fusse arrivé pour la première fois en descendant de chemin de fer.

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